私的自治と労働者保護

労働者と使用者の雇用契約は民法の規定では、お互い自由に締結できる。しかし、自由にすると労働条件の面でどうしても使用者に有利な契約になりがちである。そこで労働基準法等の労働法が労働者保護という視点から、契約の自由とういう私的自治の原則を修正する形で存在している。裁判所は労働裁判において、労働者に有利な就業規則は機械的に適用するが、会社に必要以上に有利な規定は適用しない傾向があるのではないか。労働契約法上は就業規則の規定はその内容が合理的なものであり、労働者に周知している場合は労働契約になる(労働契約法7条)。しかし、この合理性かどうかの最終判断は裁判所である。就業規則を作るときは、このことを認識していることが大変重要です。

労働契約法改正案(有期労働契約)について

今の国会で厚生労働省は、労働契約法改正案(有期労働契約)を提出予定です。

主な内容は次のとおり。

① 有期労働契約の期間は、現行は原則3年ですが、これを5年とし、6カ月のクーリング期間を導入する。

  5年経過して、労働者が労働契約期間のない契約を主張したら、使用者は期間のない労働契約を締結しなければならない。

  労働者が契約期間のない契約を主張しない場合は、退職になり、6カ月過ぎれば、また5年の有期労働契約を締結できる。

② 雇止め法理(ア 有期契約でも、実質無期契約と認められる場合 イ 有期契約でも契約更新の期待権がある場合は、雇止めの意思表示が解雇権濫用となる) を法定化する。

③ 合理性のない処遇の禁止

④ 契約更新の判断基準の明示

目的は、有期労働契約者の雇用の安定です。法律が国会で成立したら、企業としては有期労働契約者対策が必要になってきますね。

この法律の改正案が成立したら、パートタイム労働法および労働者派遣法の改正案が今後提出される予定になっています。

 

ヘルパー2級の研修が変更

ホームヘルパー2級が、2013年度から「介護職員初任者研修課程」(仮称)に変更されます。介護職員の質を高めるのが狙いです。在宅だけでなく施設の基本的な介護業務もできるように、医療との連携や急増する認知症高齢者の支援を学ぶ科目が新設されます。また筆記試験も加わる予定です。介護職員の質を高めるためには大変良いことだと思います。あとは待遇の改善をしていただきたいですね。

平成23年度卒業予定者の就職内定率

厚生労働省は17日、平成23年度卒業予定者の就職内定率を発表した。

内容は以下のとおりです。

① 大学71.9%(前年同期比3.1ポイント増)

② 高校73.1%(同2.5ポイント増)

前年同期よりは増加していますが、70%代前半で厳しいものがあります。

若い人たちの働く場所がないというのは、社会としては問題で、早く景気が回復してもらいたいものです。

遺族基礎年金に父子家庭の拡充検討

厚生労働省は、現在母子家庭のみに支給している遺族基礎年金について父子家庭への給付拡充の検討に入りました。現行は遺族厚生年金は、父子家庭、母子家庭ともに受け取れますが、遺族基礎年金は、母子家庭のみが受け取れる制度です。ただし、遺族基礎年金で父子家庭に支給すると給付金額が数百億円増えることになり、財源の確保が問題です。

 

平成24年度介護報酬改定について

12月21日に厚生労働大臣発表により、平成24年度介護報酬改定の方向性が示されました。改定率は、+1.2%で内訳は在宅+1.0%、施設+0.2%となっています。ここから、施設から在宅介護への移行が読み取れます。改定率の+1.2%も平成24年度から処遇改善交付金がなくなるので、実質マイナスの改定になると思われます。年明け1月下旬ごろに各サービスごとの数値が示される予定になっています。国の財政状況が苦しいので、介護もきびしいものがありますね。

パートタイマーの社会保険加入条件が変更される?

パートタイマーの社会保険加入条件の変更が政府で検討されています。現在は、その会社の正社員の4分の3以上(正社員が1週40時間の会社では、1週30時間以上)の働き方をするパートターマーは社会保険に加入することになっています。これを2分の1以上(1週20時間以上)のパートタイマーにも加入させようというものです。しかし、これは会社の経営上問題があり、すぐに決まるとは思いませんが、社長さんとしては、そのような動きがあるということを知っておいてください。

 

健康保険料率の引き上げ

協会けんぽは26日、2012年度の都道府県別に決める健康保険料率が、平均で10.0%になると発表しました。

保険料率の引き上げは3年連続で、2ケタになるのは初めてです。

経営者の立場からは、もうこれ以上は上がってほしくないところです。